Coltrane Time

Coltrane Time
John Coltrane
価格:¥ 955 (Music)
(参考価格:¥ 1,467)
おすすめ度 ★★★★☆


不思議なアルバムだ。なにが不思議といって、その顔合わせがなんともミステリアス。
ケニー・ドーハムとジョン・コルトレーンの2管をフィーチャーしたクインテットで、
ピアノはなんとセシル・テイラーなのだ。
実はこのアルバム、セシルのリーダー作として制作されたもので、
当初のタイトルは 『ハード・ドライヴィング』 だった。

それが途中から現在のタイトルに変更され、あたかもコルトレーンのリーダー作のように扱われるようになった。
でその演奏だが、びっくりするほどオーソドックスなハードバップ。
ケニー・ドーハムとチャック・イスラエルのオリジナル各1曲にスタンダード2曲という選曲からしても、
ドーハムにとって一番居心地のいい世界だったろうと思われる種類のジャズだ。
セシルとコルトレーンは60年代に入ると過激なフリー・ジャズと突入するが、
この時点 (58年) ではまだハードバッパーとしての名残を留めていた。
だからこのような共演が可能だったのだ。そういう観点から眺めると、
非常に興味深い異色セッションだ。(市川正二)

★★★★☆ ハード・バップ、モード、フリーが混在する奇妙な世界
コルトレーン名義ながら実はセシル・テイラーのリーダーアルバムとしてリリースされたもの。
当時まだ駆け出しのテイラーと実績のある二人の管の競演は、
過渡期のジャズのスリルを伝える後付の問題作でもある。
すなわち、ハード・バップのベテラン、ドーハムとモード(といって悪ければシーツ・オブ・サウンズ)を
探求しつつあったコルトレーン、さらにオーネット・コールマンとともにフリー・ジャズ、
ニュージャズのパイニアとなったセシル・テイラーのトライアングルな世界の対峙である。

しかし時代はまだ、ハード・バップの真っ盛り。
コルトレーンの個性は十分に発揮されていたとはいえ、テイラーはむしろ奇異なピアノとして
浮き上がった存在になっている。それでも、うきあがるだけのことはあり、
彼の主張はすでに伝わってくるほどはっきりしたものであった。
したがって、コンセプトの異なった三者が、それぞれに際立ちながらも、
不思議な調和を見せている点が聞き物でもあるのだ。
曲目も Shifting Down、Double Clutching というハード・バップ〜モード的オリジナルとJust Friends、
Like Someone In Loveといったスタンダードが混在し、
どちらの世界にも自由に交感しうる幅を示している。
特にコルトレーンはハード・バップ、モード、フリーを駆け抜けた殉職者であっただけに、
彼の未来を予感するようなアルバムだといえるのではないだろうか。

★★★★☆ 評判よりもいいかも
元々セシルテーラーのリーダー作だったのを、コルトレーン名義にして出した作品。
'58録音。セシルテーラーは、モンクの出来損ない、というか後年のポールブレイというか、
まあ浮いてます。見方によっては下手なアマか?ともとれる。
そんなへんてこなバッキングで、ここではフロントの2管が咆える!
コルトレーンもそうだが、ドーハムがかなり頑張ってます。
おお!と唸ってしまいました、ドー八ムに!
(これはかなり例外的かも)
コルトレーンはいつもどおりのフレーズ。2人とも調子イイです。
以前は酷評されていた作品で、実際1曲目からかなり先が思いやられる展開だが、
いやいやなかなか!!ですよ。お値段も安いし、イイんじゃないんですか?

★★★★☆ 訂正します。
結局のところテイラーのピアノが浮いているだけで,全体としては優れたハード・バップのセッションです。
録音も'58年当時としては疑いなく水準以上です。
何より'62年にブルーノート・レーベルからリリースされているという事実(すなわちアルフレッド・ライオン)が
内容を保障しているようなものです。
もっともライオン自身がプロデュースしたならボツにしたか,少なくともテイクを重ねたでしょうが…
ジャケットのコルトレーンの心なしかしょぼくれたような表情がそのあたりを物語っているような気はしますね。

★★★☆☆ なんとも中途半端な・・・
かつてジャズ評論家であった大橋巨泉氏は
「コルトレーン以降のジャズはメロディをうたうことを忘れたのでついていけない」 と言ってジャズから
離れたとか。わたしもその言には納得です。
で,このCDですが,セシル・テイラーのピアノのせいで,ジャズが小難しい音楽になっていく
その入り口を覗き見るような演奏ですね。
ケニー・ドーハムのラッパもらしくないフレーズを奏でております。
むしろコルトレーンのソロが一番ストレート・アヘッドに聴こえるから不思議です。
すべての曲でエンディングにしまりがなく,録音もイマイチ。
これホントにブルー・ノート?と思ったら,もともとUAレーベルからリリースされたんですね。道理で・・・

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