ライヴ・トレーン〜ジ・ヨーロピアン・ツアーズ 7枚組ボックス・セット

ライヴ・トレーン〜ジ・ヨーロピアン・ツアーズ 7枚組ボックス・セット
ジョン・コルトレーン
価格:¥ 13,267 (Music)
(参考価格:¥ 13,965)
おすすめ度 ★★★★★


このCD7枚組のアルバムには、3度にわたるヨーロッパツアーの間に演奏された曲が収録されている。
そこには、押しも押されもしないジャズ界の大御所になりつつあった
コルトレーンの音楽の変遷をはっきりと見ることができる。

リードにエリック・ドルフィー、ベースにレジー・ワークマンを据えた1961年のツアーでは、
ピアニストのマッコイ・タイナーとドラマーのエルヴィン・ジョーンズとの関係はすでに
強固なものになっていた。
続く62年、63年のツアーでは、タイナー、ジョーンズ、そしてベーシストのジミー・ギャリソンとの
伝説のカルテットが形成された。

また、毎晩のように演奏され、その度に違った形を見せたコルトレーンのお気に入りの曲もたくさん入っている。
「Impressions」 は彼の激しいテナー探索への出発点となった曲のひとつ。
「My Favorite Things」は手の届かないところにある幸福、あるいは躍動する強いエネルギーを
引き付けるような、ソプラノの代表曲。

「Mr. P.C.」 は彼が取り組んでいたハーモニックなアプローチの数々を
疾走感たっぷりに体感させてくれる曲。

さらに、同じ曲を違ったバンド構成で演奏したときのとても興味深いコントラストも発見できる。
初期のグループはずっと流ちょうで、ドルフィーの編み出した滝のようにフレーズを
くりだす奏法にコルトレーンがことさらに刺激を受けているのには驚く。

珠玉の名作はほかにもある。
「Lonnie's Lament」 や 「Spiritual」 のようにオリジナルの曲にコルトレーンが
悲痛で厳粛な空気を吹き込んだものや、
「I Want to Talk About You」のように美しいバラードになったものなどだ。

このアルバムはコルトレーンファンに、埋もれていた宝物を探しあてた喜びを与えてくれるだろう。
また、インパルススタジオ時代を補う貴重な音源であり、当時のライヴ演奏の記録でもある。

ここに収録されている演奏を時系列で大きく2つに分けると、だいたい後半期に属する演奏は
パブロCDのシリーズでも聴くことができる。
しかし、前半期のものの多くはこれまできちんとしたレコーディングの記録もなく、
劣悪な音質の海賊盤でしか聴けなかった。

本作は、この偉大な音楽がそれにふさわしい当然の扱いを受けたはじめてのアルバムといえるだろう。
(Stuart Broomer, Amazon.com)

★★★★★人にはすすめないけど!!
僕が勝手に命名した「60年代ジャズドキュメンタリー劇場」の中で、
これはいわば第2幕第2場に相当する。
第1幕は60年春のマイルス欧州ツアーを中心としたマイルスコンボからの
コルトレーン退団前後の記録。
第2幕は歴史的なビレッジ・バンガード・ライブの記録で始まり、
その第2場に相当するのがこれである。これはすごいと思う。

61年11月から63年11月の2年間にわたる確信とエネルギーに溢れ、
限界を極めようとするかのようなトレーンの記録だが、人にすすめない理由は、
同じ曲があまりに多い故で、インプレッションズ、マイ・フェバリット・シングス、
ネイマ、ミスターPC等がこれでもかというぐらい沢山入っている。
もうちょっとバラエティー豊かだったら大推薦間違いない。

僕の好みはドルフィー?存在で演奏としてのまとまりに欠けるところが
かえって面白いDISC1、2の9曲、それと圧巻そのもののDISC2のジ・インチ・ワームである。
この貴重なCDを世に出した人々に感謝感謝。年に1度は一晩中聞く日を作ろうと思う。
なお、録音はモノラルであり高音質とまでは言えないが、
海賊版のように聞いてがっくりくるようなお粗末な音源は一つも無い。

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